2016年
2月
07日
日
アーユルヴェーダの古典書には、 “アーユルヴェーダの正しい学び方” が明記されており、古代から現在に至るまで、その伝統が守られています。
アーユルヴェーダの古典書 チャラカサンヒターの“ヴィマーナスターナ”という編には、アーユルヴェーダの学習方法が詳細に説かれています。
私達、アーユルヴェーダ学習者は、
誰もがその教えに従って学習を進めなければなりません。
・・・アーユルヴェーダは学ぶに値するか?を吟味する・・・
まず、学習を始める前にするべきことは、
そもそもアーユルヴェーダが(アーユルヴェーダだけではなく全ての学問について言えることですが)、“学ぶに値するものかをよく検討する”ことです。
検討する方法は、
●アーユルヴェーダを紹介する書籍をいくつか読んでみる。
●インターネットなどの情報をチェックしてみる。
●周りの人や、社会(信頼できる情報源)での評判を確かめる。
●アーユルヴェーダが体験できる初心者向け講座やワークショップに参加してみる。
●アーユルヴェーダの簡単な日常ケアなどを実践してみる。
●アーユルヴェーダサロンで施術を受けてみる。
などが上げられるかと思います。
・・・先生(学校)を探す・・・
検討の結果、本格的に「アーユルヴェーダを学ぼう!」と決めたら、
次にするのは”先生探し、学校探し”です。
アーユルヴェーダは、先生無しでは学習できないシステムになっています。
私達が教科書とするのは、チャラカサンヒター、スシュルタサンヒター、アシュタンガフリダヤサンヒター…などの古典書です。
古典書の内容が“正”であり、これは、古代から現在まで変わりません。
ですが、古典書を熟読するだけでは、アーユルヴェーダの学習はできません。
日本語に訳されていても、、、たとえ古典言語であるサンスクリット語が読めたとしても、
自分一人で読んだだけでは、ほとんど意味が分からず、疑問が多く残ります。
少し分かったような気になっても、実際には、多くの真意を読み取れずに終わる結果になります。むしろ誤った理解をすることさえあるでしょう。
これは、教科書が先生とセットで機能できるように、初めから考えられているのだと言います。
ですから、アーユルヴェーダを本格的に学ぼうと決めたら、信頼できる、尊敬できる、良い先生を探しましょう。
・・・先生の教えに完全に従う・・・
もし、あなたが、アーユルヴェーダを学習したいと思って、良い先生(学校)に出会えて、学習できる環境が整ったならば、それは非常に幸運なことだと認識するべきです。
なぜなら、そこに至るには、
学習したいと思える好奇心や向上心があり、
学習する能力があり、
学校に通う体力があり、
良い先生(学校)との縁があり、
交通費や学費を支払うことができる経済力があり、
学習する時間を作ることができる家庭環境があり、
、、、と実にさまざまなことをクリアしなければ、到達しえなかったのですから。。。
さて、自分の先生(学校)を決めたら、
これはとても大切なことなのですが…
先生の教えを、100%、素直に受けとること、
その教えに完全に従うことが大切です。
先生(学校)を決める前は、「この人は信頼できる人かな?この学校は大丈夫かな?」などと、さまざまな角度から、十分に吟味していいのですが、
この先生に教わろう!この学校に行こう!と決めてしまったら、その方の教えを全て受け入れなくてはいけません。
精神の成熟度が高い方は初めからこのことが実践できると思うのですが、
私は最初の数年、先生の仰ることに、ときに懐疑的で、ときに反発心もありました。
つまり、自分が賢いと思っていたのです。。。
私がアーユルヴェーダの学習を始めたのは20代後半でしたが、まったく精神が未熟で(今も未熟なのですが…笑)、「自分が何も知らない」ということを知るのに数年かかりました。
・・・仲間とともに学ぶ・・・
先生の言葉を素直に学ぶ「謙虚さ」、この素晴らしさを教えてくれたのは、アーユルヴェーダをともに学ぶ仲間達でした。
クラスメートには年上の方が多く、医師、会社経営者、熟練セラピストの方など、社会で「先生」と呼ばれる方もいらっしゃいました。
彼らが、先生や他のクラスメートの話を聞く時の謙虚な姿勢、
社会経験の浅い、年下の私の話にさえも、「なるほど~」「そうなんだ!」と興味深く聞き入ってくれる様子に、目からうろこがポロポロポロ。。。
「賢者には全世界が師匠となり、愚か者には全世界が敵となる」
という古典の言葉が体感できた瞬間でした。
自分というフィルター(プライドとも言えるでしょう)を外し、心を開いて、素直に先生の言葉を聞くようになった時から、
先生のひと言ひと言に、古典書の一言一句に、
大げさに聞こえるかもしれませんが…、輝きを伴った感動を覚えるようになりました。
学習への集中力も増し、より深いところで、意味もよく理解できるようになってきました。
ですから、「先生に従い、謙虚に学ぶ」に、
「仲間とともに」という言葉を私は付け加えたいと思います(*^-^*)
私にフィルターの外し方、心の開き方を教えてくれたのは、仲間達だからです。。。
アーユルヴェーダの学び方、何回かシリーズで書く予定ですので、どうぞお楽しみに!
・・・アーユルヴェーダ各種講座・・・
2016年
2月
11日
木
アーユルヴェーダが正しく身につく学習方法、次のステップは “教える” ことです。
先生から学んだだけでは、アーユルヴェーダを身につけることはできません。
アーユルヴェーダは “実践の科学” ですので、まずは、学んだ知識を、できるところから実践してみましょう。
・・・アーユルヴェーダを実践する・・・
ディナチャリヤ(一日の過ごし方)
リトゥチャリヤ(季節の過ごし方)
サッドヴリッダ(正善行為)
アーチャーララサーヤナ(行いにおける強壮法)
など、アーユルヴェーダには、日常生活で実践可能な、健康法や養生法がたくさんあります。
上記に上げた、日常生活における健康法の素晴らしいところは、高価な道具や珍しい材料などがほとんど必要なく、誰もが、暮らしの中で実践できるところです。
そして、なんの副作用もなく、高い健康効果を実感することができます。
・・・アーユルヴェーダを教える・・・
アーユルヴェーダの学習法の2つめは『教えること』です。
先生から教わった知識を、実践し、さらに、誰かに教えることで、知識の理解を深めることができます。
なにかの教室を開催したことがある、あるいは、会社で新人教育を担当したことがあるなど…誰かに教えた経験のある方ならわかると思いますが、教える時には、教える時間の何倍もの時間をかけて下準備することが必要になります。
下調べをしたり、テキストを作ったりすること、話す内容や構成をまとめることは、とても大変な作業ですが、“相手に、正しい知識を、分かりやすく伝えよう”という責任感が伴うので、自分一人の勉強よりも真剣に取り組まなければなりません。
例えば、「代謝アップのために白湯を飲もう!」ということを教える場合にも、
どうして白湯じゃないといけないのか?どんな良いことがあるのか?どんな人が、いつ、どのくらい飲むべきか?守るべき注意は?などをテキストに盛り込み、正しい知識を、分かりやすく、魅力的に話さなくてはいけません。
この時、あなたが白湯飲みを日頃実践していて、その効果を体感していたら、イキイキとした魅力が言葉にのって伝わることでしょう。
こうした「教えること」に関わる作業全般が、あなたの学びになります。
ですから、先生に教わった知識を1つでも2つでも実践して、その効果を体感したら、
ぜひ、周りの人に、その知識を教えてあげましょう。
「私の知識ではまだまだ…」
「私は先生じゃないし…」
など思われる方もいるかもしれませんが、先生から教わったことで、実際にあなたが実践して「これは良い!」と思ったアーユルヴェーダ健康法の1つを、家族や、友達や、周りの人に教えてあげることから始めたらいいのです。
はじめから、五大元素がどーの、トリドーシャがこーの、といった高度な理論は必要ありません。
自分の学習レベルにあわせて、 教わった知識を周りの人達におすそ分けしてあげましょう。
・・・結果に執着しない・・・
あなたが最善を尽くし教えた結果、
相手が「よし白湯を飲んでみよう!!」と実践して、健康効果を感じてくれたとしたら、それは、とても嬉しいことですね。
ですが、
「ふーん…そうなんだ。」で、あまり魅力が伝わらず終わってしまった場合も、落胆することはありません。反省すべき点を反省して、また別の機会にチャレンジしたらいいのです。
アーユルヴェーダの古典書には、
「行為に最善を尽くしても、その結果にはとらわれないようにしなさい」
という言葉があります。
“教える” という行為に最善を尽くすこと、そのことがあなたにとっての学習なのです。
もしも、教えた相手が、よく理解できなかったり、やってみようという気になれなかったりしても、悲しくなったり、暗い気持ちになったりする必要はありません。
反省すべき点を反省し、次の機会にしっかり改善することが、あなたのさらなる学習になり、またひとつアーユルヴェーダに対する理解が深まります。
・・・総合的な学習・・・
アーユルヴェーダを教えるポイントのひとつは、
アーユルヴェーダの知識を総合的(ホリスティック)に理解していることです。
総合的な理解を獲得するためには、実はアーユルヴェーダの勉強だけでは足りません。
さまざまな分野の学習を補助的に行うことが、アーユルヴェーダの知識を総合的に理解することの助けになります。
例えば、“白湯飲み” ひとつを考えたときにも、
現代栄養学、現代解剖生理学、地理学、自然科学、伝統文化など、さまざまな視点からみてみることが可能です。
自分の視野が広がると、相手が疑問に思うことが想像できたり、説明に現実味が増したりすることでしょう。
私は、日本に、実用性のあるアーユルヴェーダが広まるためには、このような、その土地その土地の身近な “アーユルヴェーダ伝道師” の存在が必要だと思っています。
アーユルヴェーダ学習者の皆さん、共に学びを深め、アーユルヴェーダを一歩ずつ広めていきましょう(*^-^*)!!
※ハッピーアーユルヴェーダの基礎講座を終えた方で、自分の作成したテキストへのアドバイスを希望される方は、PPTやWordやPDFなどのファイルを遠田までメールでお送りください。
・・・アーユルヴェーダ各種講座・・・
2016年
2月
21日
日
アーユルヴェーダが正しく身につく学習方法、3つ目は “討論する” ことです。
~ 教わる ~」の記事でも触れましたが、
アーユルヴェーダを学ぶうえで、志を共にする仲間は、とても大切な存在です。
・・・仲間と討論する・・・
専門知識を持つ仲間同士、お互いの意見を語り合い、問題について議論をたたかわせることで、多くのことを学ぶことができます。
討論することで、
◆ 疑問が解決する
◆ 不確かだった知識を、確かな知識にすることができる
◆ 知らなかった知識を得られる
◆ 忘れていた知識を思い出せる
・・・というふうに知識をより深めることができるでしょう。
また、
◆ 良い学習の方法や、良い書籍などを教えてもらえる
◆ 説明が上手くなり、講師としての力がつく
◆ 施術に自信がつく
◆ 交流が広がることで、活躍の場が増える
◆ 仲間がいることで、学習することがさらに楽しくなる
・・・など付随的に得られるものも大きな財産となるでしょう。
以上のような理由により、「アーユルヴェーダ学習者は、専門家同士で討論するべきである」と古典書に説かれているのです。
・・・世界初のアーユルヴェーダ学会・・・
今年も日本アーユルヴェーダ学会の研究総会が4月22日(金)~24日(日)に開かれるそうです。
開催場所は埼玉で、今回で38回目とのこと。
こういったアーユルヴェーダ学会は、現在、インドを始めとして世界各地で行われています。
聖典チャラカサンヒターには、医学会議の様子が冒頭に記されています。
開催場所はヒマラヤ、テーマは「病気」についてで、参加している聖者達の名前も記されています。
この医学会議で、聖者達の討論(討論の方法は現在とは異なるようですが…)により生まれたのが『アーユルヴェーダ』です。
世界で最初のアーユルヴェーダ学会であったと言えるでしょう。
チャラカサンヒターには、この他にも、さまざまな医者達の討論の場面が描かれています。
「討論する」ということが、確かに、太古より受け継がれた、伝統の学習方法であることが確認できます。
・・・3つのステップ・・・
● 教わる
● 教える
● 討論する
この3つのステップにより、アーユルヴェーダの知識をより深く、確実に身につけることができると聖典は説きます。
中でも、今回のテーマ「討論する」ことは、ある程度の知識が既に備わっていないとできないので、上級の学習方法であるかと思います。
なおかつ、討論できる仲間が必要です。
もし、あなたに既にそのような仲間がいたら、かなり幸運だと言えるでしょう。
私も幸運なことに、話し合いができる仲間達がいます(*^-^*)
・・・もしかしたら、焦らずとも、まじめに一歩一歩学習を進めるうちに、そのような仲間が自然とできてくるのかもしれません。
今回で、いったん『アーユルヴェーダの学び方』シリーズは終わりますが、こちらのブログではアーユルヴェーダの学習方法のポイントをチラリとご紹介させていただいたにすぎません。
最初の回でお伝えしたとおり、
アーユルヴェーダは、先生無しでは学習できないシステムになっています。
そうです。この「アーユルヴェーダの学び方」というテーマ自体も、聖典を基にした深遠なアーユルヴェーダの知識であり、到底このブログ内でその全てをお伝えすることは叶いません。
やはり、学問は手軽に修めることはできないのです。
インターネットで、どんな情報も、手軽に入手できる感のある世の中。
「アーユルヴェーダの正しい学び方」
と
「アーユルヴェーダを学ぶことの魅力」
を少しでもお伝えできたらいいなぁと思い、このシリーズを書きました。
このシリーズを書いてみて、古典を確認したり、学校のテキストやノートを読み返したり、私もよい学びの時を過ごすことができました。
ありがとうございました(*^-^*)
・・・アーユルヴェーダ各種講座・・・